山口県議会議員国本たくや

 

 
 

       定例会一般質問

1 地域の実情に寄り添った中山間地域づくりの推進について

 昨年の上関大橋損傷事故は、今後の中山間地域対策を進めていく上での大きな課題を投げかけたと感じている。コロナ禍で、ただでさえ地域全体が疲弊する中、こうした事故や災害などで痛手を負った地域が、生活機能を維持し、活力を取り戻していくためには、他の地域とは異なる、配慮ある対応を行っていく必要がある。
 県では、来年度から、地域づくりの機運がある地域を対象に、元気生活圏の形成を支援する新たな取組を進めていくこととされている。元気生活圏づくりを強力に進めることは確かに必要だが、取組を進めるに当たっては、こうした地域に対して、一時的に、事業の優先採択など、特別な配慮を行うことが重要と思う。
 中山間地域づくりの推進に当たり、この度の上関町長島のように、事故や災害により他の地域と比較して著しい影響を受けた地域などもあることから、それぞれの地域の実情に寄り添ったきめ細やかな対応が必要であると考えるが、今後どのように取り組むのか、所見を伺う。

答弁 部長
 地域の実情に寄り添った中山間地域づくりの推進についてのお尋ねにお答えします。
 中山間地域においては、急激な人口減少や高齢化に伴い、地域や産業の担い手不足が深刻化し、コミュニティ機能の低下によって、集落機能の維持が困難な地域も生じています。
 こうした中山間地域を持続可能なものとするため、県では、市町と連携をしながら、集落の枠を超えた広い範囲で集落機能や日常生活を支え合う「やまぐち元気生活圏」の形成を推進しているところです。
 一方で、お示しのように、地域はそれぞれ置かれた状況が異なり、地域づくりに取り組む上での課題も一様ではないことから、地域づくりを進めるに当たっては、それぞれの地域の実情を踏まえ、その地域に合った進め方で取り組むことが重要です。
 また、長引くコロナ禍により、地域での話し合いや行事をはじめ、地域外との交流イベントも中止を余儀なくされるなどの影響が出ており、このことにも十分配意しながら、地域に寄り添った支援を一層充実してまいりたいと考えています。
 こうした中、県では、新年度新たに、元気生活圏の形成に向けて議論を開始する地域を対象として、伴走型の支援を行うとともに、元気生活圏づくりの柱となる事業を前倒して実施する取組を支援することで、生活機能の維持や地域の活性化につなげていく事業をスタートすることとしています。
 事業を進めるに当たっては、お示しの上関町のように、特別な事情を抱える地域もあることから、きめ細かく対応していくことが必要であり、市町と緊密に連携し、地域の実情を十分把握しながら、実態に応じた支援を行うなどの柔軟な対応を検討してまいりたいと考えています。
 県としては、今後もより多くの地域で、地域づくりの機運が高まり、元気生活圏の形成が着実に進んでいくよう、地域の実情に寄り添った中山間地域づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。

2 橋梁の老朽化対策について

 本県は、上関大橋をはじめ、4,000橋を超える橋梁があり、地域産業や県民の暮らしに重要な役割を担っている。
全ての県民の安心・安全な暮らしを確保するため、今回のような事故が他の橋梁でも発生することがないよう、常に万全の対策を講じておく必要がある。
 上関大橋の再発防止策はもとより、県内すべての橋梁の安全性を確保するため、原因究明を行うとともに、その結果を今後の橋梁の維持管理や老朽化対策に活かしていっていただきたいと考える。
 今後も、今回のような予兆のない事故が生じる可能性があることを考えると、橋梁の異状をより早期に発見し、対処できる対策を進めていく必要があると思う。
こうした中、県が来年度、デジタル技術の活用などにより、橋梁の状況をこれまで以上に迅速かつ確実に把握できる体制が早期に整備されることを、強く期待している。
 そこで、上関大橋損傷事故の対応を踏まえ、県民の安心・安全なくらしを確保するため、橋梁の老朽化対策に、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 橋梁の老朽化対策についてのお尋ねにお答えします。
 橋梁は、道路ネットワークの形成に欠かせない施設であり、社会・経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤として、恒常的な機能の発揮が求められています。
このため、県では、これまで、橋梁長寿命化計画に基づき、更新費用の平準化を図るなど、橋梁の効率的な維持管理や老朽化対策を推進してきたところです。
こうした中、昨年11月に上関大橋の損傷が発生したことから、検討会議を設置し、原因の究明や復旧対策などの検討を進めていますが、お示しのとおり、県内すべての橋梁の安全を確保するためには、今回の会議の検討結果を活かして、今後の橋梁の維持管理や老朽化対策を進めていく必要があると考えています。
このため、離島架橋や特殊な構造を持つ橋梁等において、来年度から、新たにデジタル技術を活用して、伸縮計や歪ゲージによる橋全体の定期的な変位計測や、主要部材の損傷・補修履歴、点検結果などのデータベース化を図り、異状箇所の早期発見・早期対応に取り組む考えです。
さらに、県が管理する橋梁の約6割を占める小規模橋梁において、AIによる点検・診断システムの構築を進め、点検の効率化と診断精度の向上を図ることにより、安全性・信頼性の確保に努めてまいります。
また、橋梁に関する情報は、県民が安心した生活を送る上で欠かせないものであることから、今後、橋の重要性や損傷の程度による公表基準を定め、適時、点検結果を公表する考えです。
県としては、今後とも、橋梁の維持管理や老朽化対策を計画的かつ効率的に進めるとともに、デジタル技術を活用することにより、異状を早期に発見し、速やかに対応する「日本一の安心インフラやまぐち」の実現につなげてまいります。

3 ジビエの振興について

 鳥獣被害対策は、防御や駆除を目的とする捕獲だけでなく食材として捕獲する野生鳥獣、いわゆるジビエを地域資源として位置づけ、地域の活性化に活かしていくという視点を持つことも大切だと考えている。
 ジビエの振興にあたっては、処理施設の設置に係るコストや衛生管理、猟友会構成員の高齢化など様々な課題があるが最も大きな課題は、野生鳥獣の捕殺場所と処理施設の距離が離れていることから、放血・解体までの時間が長くなることにより、全身に血がまわり、生臭い肉になったり、硬い肉になってしまうことである。
 処理施設の設置に関しては、地域の協力や理解が不可欠である。このため、県及び市町、関係団体が連携し、一体となった取組により、県内のどの地域で捕獲しても、迅速な放血や解体が可能な体制を構築することが本県ジビエ振興の大きな一歩になると思う。県内においてジビエ振興の機運が高まるよう、県には積極的な取組を期待する。
 野生鳥獣による農林業被害を低減する視点を持ちつつ、野生鳥獣の発生が多い中山間地域の活性化につなげるため、今後、ジビエ振興にどのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 ジビエの振興についてのお尋ねにお答えします。
 野生鳥獣による農林業被害が深刻化する中、中山間地域の活性化を図るためには、捕獲対策の強化に加え、ジビエを地域資源として有効活用することが重要であることから、市町等と連携し、ジビエの普及や利用拡大を図ってきたところです。
 この結果、県内に処理施設が15か所設置され、販売店が、道の駅を中心に40店舗に増加するなど、県内各地で取組が進んでいます。
 一方で、捕獲されたイノシシ等の利用率は5%に留まっており、更なる有効活用を図るためには、お示しのように、捕殺場所に近接して処理施設を設置するなど、適切な処理体制を構築し、意欲ある方々の取組を後押しする必要があります。
 このため、県では、市町や猟友会など関係団体と一体となって、地域の実情に応じた処理施設の整備を進めるとともに、整備後の円滑な運営やジビエの有効活用など、地域の主体的な取組を積極的に支援することとしています。
 具体的には、まず、地域の合意形成に向けた勉強会等を開催するとともに、施設整備に必要な構想の策定を進めます。
 次に、施設整備に向けて、規模や機能、設置場所等が適切なものとなるよう、衛生管理等の専門家の意見を踏まえた指導・助言を行い、国の交付金等を活用しながら、施設や機器の導入を図ります。
 また、施設の経営が安定するよう、6次産業化・農商工連携サポートセンターとも連携し、新商品開発や販路開拓などを支援します。
 県としては、鳥獣被害を低減し、中山間地域の活性化につながるよう、市町や関係団体等と一体となって、地域の主体的な取組を積極的に支援しながら、ジビエの振興に取り組んでまいります。

4 県産麦の振興について

 集落営農法人の経営において、米や大豆の裏作として冬に栽培される麦は欠かせない品目となっている。
 こうした中、ここ数年の麦の豊作等もあり、生産量が需要量を大きく上回ったことから、全国的に麦の作付面積を減らさざるを得ない状況にあると聞いている。
 麦の生産法人からは「収益を確保できなくなり今後の経営に大きな影響を及ぼす」、基盤整備の予定地域からは「営農計画作成の見通しが立たない」などの声が寄せられており、農業法人による規模拡大や若者たちの就業を阻害する要因にもなりかねないと懸念している。
 需要に応じた生産を行うことは商売の基本だが、麦に関しては、外国産の割合が圧倒的に多く、国内産に切り替えていくことで需要の拡大を図ることが可能だと思う。
 生産者の皆さんが安心して麦を作付できるよう、特に県産麦の需要拡大に向けて、今後、どのように取り組まれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 次に、県産麦の振興についてのお尋ねにお答えします。
 国において、麦は食料自給率向上に不可欠な品目とされ、本県でも、集落営農法人等の経営を支える重要な作物であることから、需要拡大と作付拡大を一体的に進めてきました。
 この結果、パンや味噌など県産麦の需要量は大幅に増加し、需要に応える生産も可能となったところです。
 こうした中、全国的な豊作により需給バランスが崩れたことから、本県においても、品種転換等の緊急対策を講じるとともに、国に対し、全国段階での需給調整等について、様々な機会を捉えて要望しています。
 一方、今後、法人等の経営安定のためには、麦の作付拡大が欠かせないことから、国の動きを待つことなく、本県独自の対策にも積極的に取り組んでいく必要があります。
 このため、JA等と連携し、更なる需要拡大と、実需者の求める高品質生産に向けた取組を強化することとしています。
 まず、需要拡大に向けては、味噌等の加工業者に対し、県産麦の一層の利用を働き かけるほか、販売協力店等と連携した販売促進イベント等を通じ、商品の魅力をPRします。
 また、新たな需要を創出するため、6次産業化・農商工連携サポートセンターと連携し、県産麦を活用する事業者の商品開発から販路開拓までの一貫した取組を支援します。
 次に、高品質生産に向けては、生産物の分析結果に基づく栽培改善など、きめ細かな指導、助言を行うとともに、加工適性の高い新品種の導入を進めます。
 県としては、生産者が安心して麦を作付けできるよう、引き続き、国への要望を行うとともに、JA等と緊密に連携しながら、県産麦の需要拡大にしっかりと取り組んでまいります。

5 新たな時代の人づくりについて

 「地域の再生」を担うのは「人」であり、「人づくり」なくして地域の再生は成し得ない。そして、若者の流出や減少が課題となっている本県において、「人づくり」は、地域の未来を担う子どもや若者の挑戦を支え、応援するような取組として進めることが重要だと考えている。
 先日示された「新たな時代の人づくり推進方針」の最終案では、6つの視点に基づき、幼児期から社会人までの成長段階に応じた、様々な取組が盛り込まれている。
 また、来年度当初予算案では、「人材育成」が大きな柱の一つとされ、乳幼児期からの育ちと学びへの支援、子どもの創造力・表現力の育成、グローカル人材の育成など、新たな取組が掲げられている。
 こうした施策により、子どもや若者が、しっかりとした成長の基盤を築き、自分の枠を飛び越えて世界観を広げていけるよう、そして、未来を担う若い世代が、山口県には質の高い学びの場やチャレンジへの応援があると感じられるよう、県には、県内の企業や団体、大学など様々な主体が一体となって進める取組の推進役を担って欲しい。
 本県の若者がこれからの時代を生き抜くことができるよう、「新たな時代の人づくり推進方針」に基づき、今後の「人づくり」にどのように取り組むのか、所見を伺う。

答弁 知事
 国本議員の御質問のうち、私からは、新たな時代の人づくりについてのお尋ねにお答えします。
 今私たちが暮らす社会は、急速な技術革新やグローバル化が進展する中で、デジタル化等の社会変革を進め、コロナの時代の「新たな日常」を創り上げることが求められるなど、従来の延長線上にはない、将来の予測が困難な時代を迎えています。
 こうした中にあって、私は、本県の将来を担う人材の育成がこれまでにも増して重要になると考え、困難な課題にも果敢に挑戦し、乗り越えていくことのできる若者を育てていけるよう、県議会の御意見もお伺いしながら、「新たな時代の人づくり推進方針」の策定を進めてまいりました。
 今後は、お示しのように、方針に掲げた6つの視点に基づいて、「ふるさと山口に誇りと愛着を有し、高い志と行動力をもって、地域や社会の課題を自ら発見、他者と協働しながら解決し、新たな価値を創造できる人材」、こうした本県が目指す人材の育成に向け、取組を本格化してまいります。
 この6つの視点のうち、「生涯にわたる人づくりの基礎を培う」では、新年度、「乳幼児の育ちと学び支援センター」を創設し、幼児教育と保育の質の更なる向上を図るとともに、様々なツールを活用した体験イベントを開催し、創造力や表現力など子どもたちの豊かな心を育成する取組を進めます。
 また、「新たな価値を創造する力を育む」においては、小学生から高校生までの児童生徒を対象に、外国人留学生との対話を通じて、世界に向けた広い視野と身近な問題に目を向ける視点の両方を育むプログラムにより、グローカル人材の育成に取り組んでまいります。
 さらに、大学生等が、社会人とともに先端テクノロジーを活用しながら、地域課題の解決につながるソリューションやイノベーションの創出を体験する取組など、新たな学びの場を提供し、課題解決力やAI等の新しい技術を活用する力を育んでまいります。
 こうした取組を関係部局が一体となって進めるため、庁内を横断する組織である「新たな時代の人づくり推進室」を設置するとともに、外部の有識者から最先端の専門的知見を採り入れる仕組みも設けることで、取組を不断に見直し、内容の充実と質の向上を図っていく考えです。
 さらに、大学や企業・関係団体など、幅広い主体と人づくりの目指す方向性や課題認識を共有し、一体となって取り組んでいくため、全県的な推進組織の設置についても検討を行ってまいります。
 私は、次代を担う子どもや若者たちが、あまねく学びを通じて「志」を育み、その持てる能力を最大限に発揮して行動していくことができるよう、市町はもとより、学校や地域、団体、企業等と連携・協働しながら、新たな時代の人づくりに全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

6 産業教育の充実と人材育成について

 専門高校に先端技術を学ぶ環境が整備され、産業界とも連携しながら職業教育の充実が進んでいくことで、地域産業を牽引する人材の育成が図られるとともに、恒常的な人手不足に直面している産業界の人材確保と、県内就職の推進による若者の県内への定着に繋がっていくことに大いに期待している。
技術革新の進展やDX等を見据えた、専門高校における産業教育設備の整備を通じて、今後の産業教育の充実と人材育成にどのように取り組まれるのか、御所見を伺います。今後の「人づくり」にどのように取り組むのか、所見を伺う。

答弁 教育長
 産業教育の充実と人材育成についてのお尋ねにお答えします。
 近年の科学技術の進展等に伴い、専門高校では、産業界で必要とされる専門知識・技術の高度化への対応と実践的な知識・技術の習得が求められており、先端技術を学ぶ環境の整備や産業界等と連携した教育活動の充実を図ることは重要であると考えています。
 このため、県教委では、これまでも小型3Dプリンタなどの整備を行うとともに、多様な知識・経験を持つ企業の熟練技能者等を講師とした技術講習会や、地元企業等が有する施設・設備などを活用した学習活動を進めてきたところです。
 また、今年度から実施している、やまぐちハイスクールブランド創出事業において、ICTも活用しながら協働して模擬会社「山口魅来」を設立し、地元企業と連携して商品開発に取り組むなど、新たな価値を創出することのできる人材の育成にも取り組んでいます。
 こうした中、専門高校等においては、Society5.0時代における地域の産業を支える人材の育成に向け、新たに、最先端のデジタル化に対応した産業教育装置を整備することで、従来の施設・設備では実現できなかった教育活動を展開することとしています。
 具体的には、例えば、工業高校では、最新の金属造形3Dプリンタやマシニングセンタを整備することにより、プログラミング技術の習得を図るとともに、精密かつ複雑な形状の機械加工を行ってまいります。
 また、農業高校では、インターネットの地図情報を活用して農薬散布ができるドローンなどのスマート農業装置を整備し、先進農家と連携しながら実践的な実習を行うこととしています。
 さらに、地域と協働して、地域課題の解決につながる教育活動を展開している田布施農工高校では、電子制御水理実験装置を整備することで、科学的根拠を踏まえた防災活動を行うこととしており、こうした活動を通じて、卒業後、様々な企業等において即戦力として活躍できる生徒の育成を図ってまいります。
 県教委といたしましては、地域や産業界等と連携しながら、専門高校における産業教育の一層の充実を図り、本県産業を牽引することのできる人材の育成に努めてまいります。

1 デジタル技術を活用した地域活性化について
(1)コロナ禍におけるスマート農業の推進について

 本県においても、農業分野でのドローンの導入や活用が始まっており、ドローンをはじめとしたスマート農業機械の活用は若い人たちの活躍の場の創出や農業の軽労化・省力化に有効であり、これまで以上に積極的な導入が必要である。
一方、コロナ禍において、新しい生活様式に対応した取組が農業界でも求められており、1人の構成員の離脱が農業経営の継続可否に直結するため、3密を回避し、少ない人数でも作業を行うことができる技術体系を早急に構築することが求められている。
県においては、実情に合わせたスマート農業技術の開発や実証を進めているが、特に、農薬散布用ドローンのように一定の水準まで達しているスマート農業機械等については積極的に導入を進めていくことが重要と考える。
 ウィズコロナ、アフターコロナの時代において、今後、本県農業の活性化に向けたスマート農業の推進にどのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

答弁 部長
 デジタル技術を活用した地域活性化についてのお尋ねのうち、コロナ禍におけるスマート農業の推進についてお答えします。
本県農業の活性化を図るためには、日々進化し、多様化するスマート農業技術の積極的な活用が必要であることから、本年4月に「山口県スマート農業導入加速協議会」を設立し、セミナーの開催等を通じて、生産現場への導入の機運を高めてきたところです。
 こうした中、感染症の収束が見通せず、農業分野でも新しい生活様式への対応が求められていることから、少ない人数で作業を行うという視点も重視しながら、スマート農業技術の導入を加速していくことが重要です。
 このため、企業・大学等との連携による新技術の開発・実証や農業大学校における技術指導等の取組に加え、新たに、コロナ対策に積極的に取り組む中核経営体を対象に、実用段階にあるスマート農業機械を緊急的に導入することとしています。
具体的には、まず、中小企業診断士などのコロナ対策にも精通した専門家を中核経営体に派遣し、感染症防止対策を徹底することで生じる技術的・経営的課題と、課題に対応したスマート農業機械の活用方法等を整理した「コロナ対応経営強化プラン」の作成を支援します。
また、強化プランに基づくスマート農業機械の導入にあたっては、協議会に設置した支援チームが中核経営体に寄り添いながら、これまでの実証試験で得られた成果を踏まえ、導入すべき機械の選定や利用計画の策定等をきめ細やかに支援します。
県としては、ウィズコロナ、アフターコロナの時代においても、生産者が安心して農業経営に取り組めるよう、スマート農業の推進に積極的に取り組んでまいります。


(2)ドローン等のデジタル技術を活用した中山間地域振興について

 今後、様々な規制が緩和され、ドローンの性能の向上によって、物流分野における活用が期待される。
 国土交通省の調査では、「生活上で最も困っていること」の項目として、医療関係の不安に次いで、「近くで食料や日用品を買えないこと」が挙げられており、中山間地域に暮らす高齢者の大きな不安の一つとなっている。
 この課題の解決に向けては、これまでも様々な施策が展開されているが、現在、開発されつつあるデジタル技術を活用した手法も取り入れていくことが必要ではないかと考えており、移動手段を持たない、中山間地域や離島で暮らす高齢者にとって、大きな可能性を示すことになるのではないか。
 デジタル化が本格化する今こそ、こうした技術を産業振興だけでなく、地域振興にもつなげていく視点を持つことが重要だと考えている。
 本県の中山間地域で暮らす方々の生活支援や地域の活性化を図るため、ドローンをはじめとしたデジタル技術の導入や活用に向け、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

 答弁 部長
 ドローン等のデジタル技術を活用した中山間地域振興についてのお尋ねにお答えします。
 中山間地域においては、人口減少や高齢化の急速な進行に伴い、公共交通の撤退や生活店舗の廃止等が進み、地域によっては、移動や買い物など日常の生活サービスの確保に支障が生じている状況にあります。
 このため、県では、地元市町と緊密な連携を図りながら、地域が主体的に取り組むデマンド交通や移動販売車の導入等を支援しているところです。
 こうした中、お示しのように、ドローン等のデジタル技術の活用は、これまで対応が困難であった地域課題を、従来にはない手法で解決するだけでなく、生活の質を飛躍的に向上させる可能性を有しています。
 また、特に医療環境の厳しい過疎地域や離島においては、感染症の拡大を防止し、コロナの時代の「新たな日常」を創っていく観点からも、対応が求められる課題と考えています。
 このため、県としては、中山間地域でもデジタル技術の効用が十分発揮されるよう、その基盤となる光ファイバの整備を市町に強く働きかけるとともに、具体的な取組としても、5Gを活用したへき地医療機関に対する遠隔サポートの実証事業等を進めています。
 また、ドローンを活用した物流ビジネスや自動運転サービスなどの実証実験に取り組む地域も県内に現れてきており、こうした意欲ある取組を積極的に支援し、早期の社会実装と他地域への横展開を図っていきたいと考えています。
 その一方で、中山間地域の中には、地域づくり活動の担い手不足や高齢化等から、現状においては、デジタル技術による新たなサービスの導入に消極的と見込まれる地域も少なくありません。
 このため、ICTを地域に根づかせ、生活の質の向上につなげていくための新たな事業にも取り組むこととし、この度の補正予算に計上したところです。
 具体的には、中山間地域にICT技術の専門家を派遣し、オンラインによる生活サービスの利用等について、住民ニーズに即したアドバイスを行い、地域におけるデジタル化の普及・定着を図っていくこととしています。
 県としては、今後も市町や地域と連携し、意欲ある取組を支援しながら、デジタル技術を活用した中山間地域の振興に積極的に取り組んでまいります。

2 農山村が有する多面的機能について

 農地やその関連施設が有する雨水や地下水の涵養・貯留機能、森林が有する水源涵養機能は、災害防止や生態系の維持に直結しており、一度その機能を失ってしまうと、元に戻すことは、非常に難しいと言われている。
 農山村が果たしている治水などの多面的機能を改めて評価しなければならないと考えている。
 本県では、森林においては、「やまぐち森林づくり県民税」や「森林環境譲与税」を活用した取り組み、農地においては、「多面的機能支払交付金制度」や「中山間地域等直接支払制度」による地域ぐるみの取り組みが展開されており、森林や農地の保全に大きく寄与している。
 一方で、農林業従事者の高齢化が進み、森林や農地、農業水利施設などの関連施設の維持・管理が難しくなっている実態がある。
 農山村は食糧生産の場というだけではなく、災害防止に大きく寄与していることを県民に広く周知していくことが、農山村で暮らし、森林や農地を守っている農林業者の意欲向上につながっていくのではないかと考える。
 そこで、本県の農山村が引き続き、治水などの多面的機能を発揮することができるよう、今後、森林と農地の保全をどのように進めていくのか、また、農山村の機能を県民に広く周知するため、どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

答弁 部長
 次に、農山村が有する多面的機能についてのお尋ねにお答えします。
 農山村における農地や森林は、農林業の生産活動を通じて、県土の保全、水源のかん養などの多面的機能を有しており、今後とも、その機能を適切に維持・発揮させることが重要です。
 県では、これまで、中山間地域等直接支払制度などを活用し、農地や農業水利施設の保全管理活動への支援を行うとともに、「やまぐち森林づくり県民税」による荒廃森林の整備などを進めてきたところです。
 一方、農山村においては、農林業従事者の高齢化が進み、農地や森林の維持・管理が困難となるなど、農林業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあります。
 このため、元気な農林業・農山村の実現に向け、多面的機能の維持・発揮や、地域のニーズに的確に応える生産基盤の整備に、一層取り組んでまいります。
 具体的には、中山間地域等直接支払制度などにより、隣接集落が連携した活動体制づくりや、管理省力化機械の導入など、地域の保全活動を支援するとともに、農地の管理が容易となる用排水路等の整備を推進します。
 また、人工林の多くが利用期を迎える中、主伐と再造林による森林資源の循環を着実に進めるとともに、森林環境譲与税を活用した取組を促進するなど、森林の適切な管理に努めてまいります。
さらに、農山村の機能を県民に広く周知するため、農林業体験活動の開催や、ホームページなどによる地域活動等の情報発信により、交流人口や関係人口の創出・拡大に努め、農林業者の意欲向上に繋げていきます。
 県としては、引き続き、農山村の多面的機能の維持・発揮に向けた取組を積極的に推進してまいります。

3 新型コロナウイルス感染症対策について
(1)これまでのコロナ対策を踏まえた今後の医療体制の確保について

 新型コロナウイルスは見たこともない感染症であり、最悪の事態を想定し、厳格な対応と、最優先で病床や医療資源を振り向けることは、初動対応として理解できるが、感染者の8割は軽症・無症状のまま治癒し、高齢者かつ持病のある方が重症化の危険性が高いことが分かってきている。
 この傾向のまま感染者が増え続ければ、軽症者が病床を埋め、重症者やコロナ以外の患者の入院に支障をきたす。
 また、通常の診療においては、感染を恐れた受診控えが、現実の問題として明らかになっており、県民の健康へのリスクが高まっている。
 このため、現在までのコロナ対策の取組を踏まえ、今後の新型コロナのリスクに応じた適正な対策につなげるなど、真に医療を必要とする人々にしわ寄せが生じることのないようにする必要がある。
 県として、これまでのコロナ対策の取組を踏まえ、感染症対策とそれ以外の疾患の患者に対する医療を両立させ、コロナ時代にふさわしい医療体制の確保に繋げていく必要があると考えるが、御所見を伺う。

答弁 部長
 これまでのコロナ対策を踏まえた今後の医療体制の確保についてのお尋ねにお答えします。
 新型コロナウイルスの感染が拡がる中、県民の安心・安全を確保するためには、適切な医療を提供できる体制づくりが重要です。
 このため、県では、これまでに、県医師会や医療機関の御協力のもと、423床の入院病床の確保に加え、軽症患者や無症状の方を受け入れるため、宿泊療養施設834室を確保し、合わせて1,257名の受入体制を整備したところです。
 こうした中、新型コロナウイルス感染症の長期化が予想されていることから、県としては、他の疾患等の医療との両立を図るための効率的な病床運用や、重症患者等に対応できる医療提供体制の確保に取り組むこととしています。
 具体的には、まず、効率的な病床運用については、本年7月に、国が示した患者推計を踏まえた病床確保計画を策定し、感染状況に応じた4つのフェーズごとに必要となる受入病床の確保や調整を行うこととしています。
 また、重症患者等への適切な治療ができるよう、山口大学医学部附属病院や4つの感染症指定医療機関を重点医療機関に指定するとともに、広域的に感染症患者を受け入れる病床を常時確保するなど、医療提供体制の整備に努めてまいります。
 なお、現在、国において、軽症や無症状者の入院措置等のあり方について、政令の見直しも含めた検討が進められていることから、その動向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えています。
 こうした取組に加え、お示しのように、感染を恐れた受診控えも懸念されることから、今後、TVスポット等を通じて、適正な受診を広く県民に呼びかけてまいります。
 県としては、今後とも、関係機関と連携し、医療提供体制の充実を図り、新型コロナウイルス感染症対策に積極的に取り組んでまいります。


(2)感染防止対策と社会経済活動の両立に向けた取り組みについて

 イベント開催制限の緩和について、国の分科会は、5千人の上限の解除や、声援などが想定されないクラシックコンサートなどは収容率を100%までとすることなどを提言された。また、9月10日、東京都は都民の都外への移動自粛を解除するとともに、飲食店への営業時間短縮要請を今月15日で終了すると発表した。これを受け、国は10月1日から東京都をGoToトラベルキャンペーンの対象地域とした。
 このように、「ウイズコロナ」時代の全国的な動きは、ギアを1段上げて、新しいステージを迎えようとしており、本県においても、感染防止対策と社会経済活動の両立に向けて、更なる取り組みをお願いしたい。
 私の地元でも、大きく落ち込んだ経済に苦しんでおられる多くの方から、様々なご相談を伺っている。県民の安心・安全は最優先であることは間違いないが、それを理由にコロナ対策が過度なものとなるようなことがあってはならない。
 コロナ対応に対する評価は、感染拡大をいかに防いだかということだけではなく、経済をどれだけ守ったか、県民生活の犠牲をどれだけ抑えられたか、感染防止と社会経済活動の両立をいかに図ることができたかということも含めて評価されなければならないと考える。そこでお尋ねする。
 新型コロナウイルス感染症と落ち込む社会経済活動の両方から県民を守るため、感染防止対策と社会経済活動の両立にどのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺う。

答弁 部長
 新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、感染防止対策と社会経済活動の両立に向けた取り組みについてお答えします。
 新型コロナウイルス感染症から県民の命と生活を守るためには、お示しのとおり、感染防止対策と社会経済活動の両立を図っていくことが重要です。
 このため、県としては、これまで、県民や事業者等に対し、「新しい生活様式」の実践や、業種ごとの「感染拡大予防ガイドライン」の徹底を促すとともに、落ち込んだ県内経済の回復のため、消費需要の喚起等に取り組んできたところです。
 しかしながら、感染症の収束が見通せない状況にあっては、人々の行動も慎重にならざるを得ず、社会経済活動の回復に向けて、依然として厳しい状況が続いています。
 このため、このたびの9月補正予算においては、感染防止対策を十分に講じながら、県内活動の回復のための更なる需要喚起等に取り組むこととしたところです。
 具体的には、秋の観光シーズンにおける県内への誘客を促進するため、体験型コンテンツの割引を実施し、観光需要を一層喚起することとしています。
 また、県産農林水産物の更なる需要回復や拡大を図るため、これまでの和牛や地鶏、日本酒、花き等に、新たに高級魚を加えた、「もっとみんなでたべちゃろ!キャンペーン」を展開していきます。
 さらに、これら全県的な取組に加え、地域の飲食店などの需要喚起に向けては、新たな交付金制度を設け、市町の主体的な取組を支援することとしたところです。
 引き続き、国が示した感染状況に関する指標をモニタリングしつつ、今後は、国の「GoToトラベル」や「GoToイート」などの需要喚起対策との相乗効果も発揮させながら、こうした取組を進め、県民生活の安定確保を図るとともに、社会経済活動を段階的に引き上げていくこととしています。
 県としては、県民の命と生活を守ることが最重要課題との認識の下、新型コロナウイルス感染症との共存を前提に、引き続き、国や市町と連携し、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた取組を推進してまいります。

4 新たな時代の人づくりについて

 変化の激しい時代を迎える中、人口減少・少子高齢化が急速に進む地方だからこそ、地域の活力を創り出し、将来を担っていく「人づくり」が重要な課題であることは論を待たない。本県では、こうした課題認識の下、今後、県として目指すべき人づくりの姿を示す「新たな時代の人づくり推進方針」の策定を進め、先日、素案が公表された。
 昨年度、我が会派から指摘した人づくりにおける幼少期の重要性、特別な支援が必要となる子どもへの配慮、私学との連携といった視点についても、しっかりと盛り込まれている。すべての子どもや若者の学びへの意欲を受け止めながら、県全体として新たな時代に向けた人づくりを進めていくという強い思いが伝わる指針となっており、今後の取組に大いに期待する。
 未来を自分たちの手で創っていこうとする精神や志、新たな知識や技術を身に付けようとする姿勢は、歴史や伝統に裏打ちされた本県の財産である。この財産を将来世代に引き継いでいけるよう、子どもや若者の挑戦を応援する取組や環境整備を進めていくことが重要だと考える。
 本県の未来を託す子どもや若者が、変化の激しい時代を力強く生き抜くため、新たな時代の人づくりを今後どのように進めようとしているのか、所見を伺う。

答弁 知事
 国本議員の御質問のうち、私からは、新たな時代の人づくりについてのお尋ねにお答えします。
 本県においては、人口減少や少子化が依然として進行し、若者の県外流出が続いています。また、Society5.0社会の到来やグローバル化の進展等の中で、国際間・地域間の競争もますます激しさを増しています。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、我々は今、これまでの慣例や価値観を見直し、デジタル化等の社会変革を進め、コロナの時代の「新たな日常」を創り上げていくことを求められています。
 まさに激動の時代にあって、県政が目指す「活力みなぎる山口県」を実現していくためには、本県の将来を担い、未来を切り拓いていく人材の育成が、これまでにも増して重要であると考えています。
 私は、そうした多くの人材の育成を目指し、昨年県議会からいただいた御指摘を踏まえて、学びへの意欲を持つ子どもや若者にあまねく必要な教育を提供するとともに、「志」を育て、実現に向けた行動を支援するための取組をさらに加速してまいります。
 その具体化に当たっては、この度取りまとめた「新たな時代の人づくり推進方針」の素案において、6つの取組の視点を掲げました。
 第1は「生涯にわたる人づくりの基礎を培う」であり、幼児教育・保育の充実を図る中で、幼少期における子どもの豊かな心の育成を進め、生きる力の基礎を培い、その後の教育にしっかりとつなげてまいります。
 第2は「ふるさと山口への誇りと愛着を高める」であり、本県を舞台に活躍する若者を育てるため、先人たちの「志」や「行動力」にも学びながら、変化の激しい時代であればこそ、自らの価値観の基礎となる「山口県人としてのアイデンティティ」の確立を一層促していきたいと考えています。
 そして、第3の「新たな価値を創造する力を育む」において、お示しの地域と連携した取組や創造的な体験活動等を通じ、地域や社会が抱える課題を自ら発見し、他者と協働して解決する力や、グローバルな視野、さらに、AI等の新しい技術を活用する力の育成に取り組んでまいります。
 第4は「誰にも等しくチャレンジの機会を創る」であり、特別支援学校における専門的な教育や、家庭環境等に困難を有する子どもへのきめ細かな支援を充実するとともに、再チャレンジを希望する若者に対し、多様な「学び直し」の機会を提供していきたいと考えています。
 第5は「地域や時代のニーズに対応し、チャレンジのための環境を整える」であり、公立学校と私立学校の連携を図りながら、特色ある教育や学力向上に向けた環境づくりを進めます。また、ICTを活かした教育の推進やコミュニティ・スクールの深化、県内高等教育機関における機能分担と連携などにも積極的に取り組んでまいります。
 最後に、第6の「新たな人づくりの推進体制を築く」では、幼稚園教諭・保育士等の確保・育成や、教職員の資質能力の向上、新たな学びの視点を取り入れた教育プログラムの開発等を推進していくこととしています。
 私は、これらの視点に基づいて、全体を体系的かつ中長期的な視点から俯瞰しながら、相互のつながりと実効性のある施策を構築し、市町や学校、地域、企業等と一体となって、本県の新たな時代を担う人づくりに全力で取り組んでまいります。

1 農業農村整備事業の推進による農業振興について
(1)基盤整備後の生産振興について

 農業の活性化のためには、若者たちに夢と希望を持ってもらうことが重要であり、農業の基盤整備はその基本である。
 基盤整備を契機として、「アグリ南すおう」など広域的な農業経営を行う組織が誕生し、1経営体の面積は飛躍的に増加しており、将来につながる農業のあり方が示されている。
 スマート農業技術やこれに対応する農業機械の導入が可能になったことも基盤整備が進んだことと大きく関係しており、基盤整備の重要性がますます高まっている。
 国は「新たな土地改良長期計画」を策定し、豊かで競争力のある農業の推進という産業政策など3つの視点を示され、私もこの視点で土地改良事業を進めることが本県の農業振興につながると確信する。
 国予算が増加する中、本県においても、ほ場整備や農地の汎用化対策などが進められてきたことを大変心強く感じる。
 しかしながら、担い手の減少や高齢化も相まって、本県の農業産出額は横ばい傾向にあり、産業政策の視点からは課題が多く、ソフト面の早急な取組が必要である。
 これまで、県として取り組まれた土地改良事業の効果を最大限生かすため、産業政策の視点から、担い手育成や生産振興にどのように取り組んでいくのか伺う。

答弁 知事
 国本議員の御質問にお答えします。
 まず、基盤整備後の生産振興についてです。
 本県農業を活性化し、若者たちにとって魅力ある農業を実現するためには、その基本となる生産基盤の整備を推進するとともに、整備された農地を積極的に活用し、担い手を中心に効率的な農業経営を展開していくことが重要と考えています。
 このため、関係団体等と連携し、農地の大区画化や、畑作物の生産も可能となる水田の汎用化を進めるとともに、基盤整備に向けた話し合いを契機とした集落営農法人の育成に取り組んできたところであり、経営の基幹品目として麦や大豆等の導入が進むなど、農地の有効活用が図られています。
 こうした中、担い手の減少や競争の激化など、取り巻く環境は厳しさを増していることから、私は、本県農業の競争力を高めていけるよう、集落営農法人の経営基盤の強化や、整備後の農地を最大限活用した、需要の高い品目の生産拡大、生産性の向上など生産振興に取り組んでいく考えです。
 具体的には、集落営農法人の経営基盤を強化するため、農地中間管理機構と連携し、農地の集積による経営規模の拡大を促進するとともに、多様な人材を活用できる加工や直売の取組など、経営の多角化を積極的に支援します。
 加えて、お示しのアグリ南すおうなど、複数の法人が連携する集落営農法人連合体の形成を進め、新たな取組として、ドローンによる広域での作業受託や大規模な施設園芸の導入など、若者の雇用に繋がる事業展開を促進しているところであり、こうした取組を速やかに県内各地に波及させていきます。
 生産振興に向けては、需要の高い品目の生産を拡大するため、酒造会社や量販店等のニーズをしっかりと把握した上で、酒米や加工用野菜等の計画的な生産を推進するとともに、地域の特性を活かしたリンドウなど、新たな作物の導入を促進し、汎用化された水田のフル活用を進めます。
 また、生産性の向上を図るため、大規模な農地を少人数で管理できる自動走行トラクターなどスマート農機の導入を促進するとともに、こうした機械を駆使できる人材の育成や先端技術の修得などを進めるため、農林業の知と技の拠点の整備にも着実に取り組んでいきます。
 私は、市町や関係団体等と緊密に連携し、次代を担う若者が夢と希望を持てるよう、基盤整備の効果を最大限発揮した農業の振興に全力で取り組んでまいります。
 

1 農業農村整備事業の推進による農業振興について
(2)ほ場整備と連携した道路整備について

 ほ場は、農業従事者の高齢化等が進行している農業・農村を維持するため、農業経営の改善や地域農業の振興等に寄与する重要な基盤であり、その整備の重要性は高まっている。
 一方、道路は、通勤や通学等、日常生活の利便性の向上だけでなく、各種振興計画の展開や経済・産業の活性化、交流人口の拡大、安全・安心の確保等を図るための重要な基盤であり、その整備の推進も喫緊の課題である。
 中山間地域が将来にわたり発展していくため、農業基盤と道路整備をバランスよく計画的に進めていく必要がある。
 現在も、国営ほ場整備事業「南周防地区」の整備と併せて、県道光柳井線の麻(お)郷(ごう)奥(おく)地区や県道光上関線の瀬戸地区では、バイパス計画等により整備が進められている。
 県は、道路用地として転用した農地を放置せず、一日も早く、事業目的を達成されるよう努力して頂きたいと強く思う。
 そこで、県として、活力ある地域を創るため、地域の産業力等の強化、交流基盤の創造、地域の再生とひとづくり、安心や安全の確保等に不可欠な、これらの道路の早期整備に向けて、今後、どのように取り組むのか、所見を伺う。

答弁 部長
 ほ場整備と連携した道路整備に関するお尋ねにお答えします。
 県では、「やまぐち未来開拓ロードプラン」に、「産業・地域を支える」、「人々のいのちを守る」等の方針を掲げ、暮らしやすいまちづくりの支援や、安心・安全な交通環境の確保を図るため、選択と集中の視点に立ち、重点的・計画的に道路ネットワークの整備を進めています。
 お示しのとおり、ほ場は、農業経営の改善や地域農業の振興等に寄与する重要な基盤であり、また道路も、日常生活の利便性向上や、産業の活性化等を図る上で重要な基盤であることから、県としては、ほ場と道路の整備を連携して進めていくことは、円滑な事業実施に有効であると認識しています。
 このため、ほ場整備が計画されている区域内に未整備の道路がある場合は、当該道路の整備の必要性・緊急性を勘案したうえで、ほ場整備と連携して道路整備を進めています。
 このうち、県道光柳井線の麻(お)郷(ごう)奥(おく)地区では、詳細設計を終えたところであり、現在、用地取得に必要な測量等を実施しています。
 また、県道光上関線の瀬戸地区では、用地の取得が概ね完了しており、早期整備に向け、事業調整や工事を実施しているところです。
 引き続き、ほ場整備と連携した道路整備に当たっては、関係機関と十分に調整を行い、早期整備に努めてまいります。

2 県産農林水産物等の輸出促進について

 国内の人口が減少に転じ、県産農林水産物等のマーケットとして拡大が期待できず、また、食のグローバル化が劇的に進んでいる中において、生産者の所得を確保・向上していくためには、海外輸出に積極的に取り組んでいくことが不可欠と考えている。
 政府が輸出先国の輸入規制へ対応するための窓口を一本化した司令塔組織を設置することは、本県農林水産物等の輸出拡大に向けた追い風になるものと考えており、国の動きに遅れることなく、さらにスピード感を持って輸出拡大を図っておくことが重要と考えている。
 そこで、県産農林水産物等のさらなる輸出拡大に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺う。

答弁 部長
 県産農林水産物等の輸出促進についてのお尋ねにお答えします。
 人口減少により国内市場の縮小が見込まれる中、県産農林水産物等の需要を確保し、生産者の所得向上に繋げるためには、海外における新たな販路の開拓が重要であり、重点地域の東アジアはもとより、経済発展が著しいアセアン地域においても、関係者一体となった取組を展開してきたところです。
この結果、輸入商社等国内外の関係者とのネットワークづくりが進み、国や地域ごとに輸出ルートが構築されるとともに、県内の生産者や食品事業者等の輸出への関心も高まってきています。
こうした中、国においては相手国の輸入規制への対応窓口を一本化し、政府間交渉のための迅速な情報収集・分析を行うなど、今後、輸出拡大に向けた戦略的な取組が加速されることから、県としても、これまでの成果を活かし、輸出への取組を一層強化することが必要と考えています。
このため、これまで築いてきた輸出ルートを最大限活用し、さらなる販路の拡大を進めるとともに、輸出コストの削減による県産品の競争力の強化を図るほか、新たに輸出にチャレンジする事業者を掘り起こし、輸出の取組の裾野を広げていくこととしています。
まず、販路の拡大に向け、現地の輸入商社等と連携し、商談が成立した商品について、取扱いが継続・拡大できるよう現地のイベント等に併せて販促活動を行うとともに、これまで築いたネットワークを活用し、百貨店等に加え、業務用などの大口取引先の開拓にも取り組んでまいります。
また、県産品の競争力の強化に向け、輸出に先駆的に取り組んできた県内事業者を「山口県版エクスポーター」として位置づけ、複数事業者の商品を下関港など近隣の物流拠点から輸出を行う取組を支援することにより、新たな低コスト輸出体系を構築していきます。
さらに、輸出の取組の裾野を広げるため、県内で実施する商談会を活用し、意欲ある事業者を新たに掘り起こすとともに、輸出の実現に向け、ジェトロ等と連携し、相手国の嗜好や輸出手続き等のアドバイスを行った上で、現地の評価を確認するテスト輸出等を支援します。
県としては、市町や関係機関等と緊密に連携し、これまで築いてきた国内外のネットワークを最大限に活用しながら、県産農林水産物等の輸出促進に向けた取組を加速化してまいります。

3 関係人口拡大による中山間地域の活力創出について

 中山間地域では、地域づくりを支える担い手の育成・確保が大きな課題であり、移住者や地域外人材等も含め、地域内外の担い手を広く繋ぎ止め、活用することが重要である。
 「定住人口」でも「交流人口」でもなく、定期的に行き来するとか、地域や地域の人々と多様に関わるいわゆる「関係人口」の拡大を進めていくことが重要である。
 国でも、第2期総合戦略における新たな視点として「地方移住にもつながる関係人口の創出・拡大」が示されている。
 平生町佐合島では、住民が、島出身者や過去に島を訪問された方々と関係を深めようと地道に活動を続けており、こうした取組を支援していくことが必要である。
 県では、中山間地域において、住み慣れた場所で安心して暮らしていける持続可能な地域づくりに向けて、関係人口の拡大による地域の活力創出に、今後どのように取り組まれていくのか、所見を伺う。

答弁 知事
 次に、関係人口拡大による中山間地域の活力創出についてのお尋ねにお答えします。
 中山間地域では、急速な人口減少や高齢化の進行により、地域の担い手不足が深刻化する中、域外から多様な人々を呼び込み、幅広い人材等の力を活かし、地域の活性化を図っていくことがますます重要になってきていると考えています。
 私は、行政・関係団体等と一体となって、移住・定住対策に取り組んできたところでありまして、移住相談件数は年々増加し、昨年度は、中国地方でトップの約8,700件に達するなど、本県への移住の関心が高まるとともに、多様な形で地域に関わりたいとのニーズが増大しています。
 さらに今後は、都市住民が多様な形で地域に継続的に関わることのできる機会を増やしていくことで、地域活性化や将来的な移住に向けた裾野拡大等につなげていくことが必要と考えています。
 国においても、こうした関係人口の創出・拡大が、第2期総合戦略の策定に向けた基本方針における地方創生の新たな視点として示されたところであり、県の第2期総合戦略の策定においては、関係人口の創出・拡大に向けた方策をしっかりと盛り込んでまいります。
 具体的には、地域の出身者や過去の来訪者との関わりを深めようとする地域活動への支援や、地方に関心を持つ都市住民が地域の課題解決等に、より深く参画することにつながる新たな仕組みの構築などを検討していきます。
 私は、地域や市町、関係団体と連携しながら、関係人口を拡大し、新たな活力を創出することにより、住民がいつまでも安心して暮らし続けられる持続可能な中山間地域を創っていけるよう、全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。               

4 障害者雇用の促進について

 県の障害者法定雇用率達成企業は55.9%と、全国でも比較的上位にあるものの、未達成企業は依然として約4割存在している。
 障害者雇用には、私の地元でも、障害者の作業遂行能力や仕事に対する意欲などに関する不安、作業補助や介助に要する人員の確保といった経営上の懸念など、率直な声が寄せられている。
 法定雇用率達成企業の割合は、引上げ前の年と比べ減少しており、雇用する側の息切れ感がうかがえる。
 障害者が職業的な自立を果たし、いきいきと生活していくためには、事業主の思いや経営上の事情にも耳を傾けた上で、理解促進・意識改革に丁寧に取り組むことが欠かせない。
 今後、法定雇用率の更なる引上げを追い風として、着実に障害者の雇用促進につなげるためには、事業主に対し、よりきめ細かで丁寧な啓発活動が求められる。
 県は、法定雇用率未達成企業の現状と実態、達成できない事情をどのように把握・評価し、今後、その理解促進・意識改革にどのように取り組むのか、所見を伺う。

答弁 部長
 障害者雇用の促進についてのお尋ねにお答えします。
 障害者の雇用状況につきましては、企業が国に直接報告し、国はその結果を公表することとされており、お示しのとおり、県内企業の約4割が法定雇用率未達成となっております。
 国は、未達成企業の名称やその実態について公表していないため、県は、個々の事情を把握できる立場にはありませんが、国が行ったアンケート調査では、「会社内に適当な仕事がない」、「障害者を雇用するイメージやノウハウがない」などの課題が挙げられています。
 県内企業が抱える事情も同様と思われることから、県では、課題の解決に向けて、国との役割分担の下、障害者雇用に対する企業の理解促進と意識改革を進めるため、普及啓発に取り組んでいます。
 具体的には、障害者に対する必要な配慮や、相談支援機関、助成金制度などを紹介する本県独自のガイドブックを作成して、ハローワークなどを通じ、企業に広く配布するなど、理解促進に努めています。
 また、企業の人事担当者等を対象に「職場リーダー講座」を開催し、雇用の進め方、社内体制の整備等に関する研修を実施するとともに、優良事業所や特別支援学校を訪問し、障害者が活躍する現場の見学を実施しています。
 こうした取組の結果、障害者の新規雇用が実現するとともに、特別支援学校の職場実習や職業訓練を新たに受け入れることが決定するなど、企業の意識改革が進んでいます。
 県としては、今後とも、労働局等関係機関と緊密に連携し、障害者雇用の促進に向けて、丁寧な啓発活動に積極的に取り組んでまいります。

5 洪水対策について

 全国各地では、河川の氾濫、堤防の決壊等が発生するなど、毎年のように大きな被害を受けている。
 山口県においても、昨年の7月豪雨等、大きな被害をもたらした災害が発生しており、これらを未然に防止する治水対策が急務であると考える。
 私は、田布施川や灸川の流域を洪水による浸水被害から、住民の生命・財産や、それらを取り巻く生活環境を守るため、河川改修の加速化や早期完成が必要だと考える。
 また、こうした河川改修と併せて、土砂の撤去や護岸の補修など、適切な維持・管理も重要である。
 特に、草木の伐採については、これまで、地元の皆様がボランティアで実施されてきたが、高齢化等により、実施困難となっており、今後は、県が実施せざるを得ないと考える。
 さらに、ハザードマップにより浸水想定区域を住民に周知徹底するなどのソフト対策も充実し、総合的な洪水対策を講じていくことが重要であると考える。
 県として、県民の生活を災害から守るため、安心・安全の確保や災害に強い県づくりに不可欠である、河川整備をはじめとした洪水対策について、今後、どのように取り組まれるか、所見を伺う。

答弁 部長
 次に、洪水対策についてのお尋ねにお答えします。
 昨年の7月豪雨など、近年、気候変動に起因する記録的な
 集中豪雨等による災害が頻発化・激甚化しており、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川整備などの洪水対策が極めて重要であると考えています。
 このため、県では、これまでも、比較的発生頻度の高い洪水に対しては、堤防の整備などのハード対策を進め、また、施設の能力を上回る洪水に対しては、住民の避難に資する情報の提供を柱としたソフト対策を進めているところです。
 まず、ハード対策としては、河川整備計画に基づき、中長期的な視点で計画的に実施する河川改修などを着実に進めるとともに、3か年緊急対策の予算も活用し、短期的に効果を発現する河川内の土砂掘削などの対策を集中的に実施することにより、引き続き、可能な限り浸水被害の軽減を図ってまいります。
また、こうした河川改修に併せて、治水上支障のある箇所等の浚渫や施設の補修等 を効果的、効率的に実施することで、河川の適切な維持管理に努めるとともに、草木の伐採については、地域住民の草刈作業に併せて、県は刈草の収集運搬を行うなど、住民を支援する取組も進めています。
 次に、ソフト対策としては、想定し得る最大規模の洪水を対象とした浸水想定区域図の整備に加え、今年度から、防災行動とその実施主体を時系列で整理した「水害対応タイムライン」の試行運用を始めたところであり、こうした取組により、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげていく考えです。
 県としては、県民の安心・安全の確保のため、総合的な治水対策の推進に取り組んでまいります。

HOME | 定例会一般質問